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社会福祉法人
柏市社会福祉協議会
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〒277-0005
千葉県柏市柏5丁目11番8号
介護予防センターいきいきプラザ
TEL.04-7163-9000
FAX.04-7163-9300
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柏ワガママLab

日々の生活の中で、あきらめていることや我慢していること本当はこうなったらいいのになぁと思っていること
そんな気持ちを私たちは「ワガママ」と呼んでいます。
柏ワガママLabは、”ワガママ”をひもといていくことをキッカケに地域の皆さんと一緒に課題解決に取り組んでいます。

ワガママMAGAZINE

MAGAZINE vol.2

注目オススメ
体験レポート:からだと想像力がつながる、「いま、ここ」を感じるダンス
 雨がしとしとと降る4月の午後、私は「いまここダンス」というユニークなダンスイベントに参加しました。パーキンソン病やALSなど身体に制限がある方も一緒に楽しめる、いすに座ったまま感じるダンス。ダンスが苦手でも体がかたくても、ここでは何も問題ではありません。必要なのは、ほんの少しの想像力と「いま、ここ」にいるという感覚だけ——

 ゆっくりといすに座ったまま、体をほぐしたり揺らしたり伸ばしたり。「いまここダンス」は、ときに季節や天気、音楽やアートなどから着想を得たテーマに沿って、想像力を自由に広げながら身体を動かします。筋トレやリハビリなど何かを改善するものではなく、また上手に踊ることを目指すものでもありません。誰もが、自分のペースで安心して参加できるバリアフリーな空間です。ナビゲーターは市川さんと長澤さん。先導してもらいながら自由な発想で身体が動き出します。
▪️雨から生まれるダンス、それぞれのいま

 この日の天気は雨。自己紹介とともに、参加者それぞれが雨を思い浮かべながら、手や腕、身体の一部をゆっくりと動かし始めました。ある人は、空からしとしとと降る雨。ある人は、雨上がりの空にかかる虹。またある人は傘の重さ、濡れた髪の感触を表現します。同じ雨でも、こんなに違うんだ、と見ている私も楽しくなりました。

 ナビゲーターの市川さんの先導で、それぞれの雨のイメージが、やがて地面に広がる水たまりへと変化していきます。

 参加者たちは足を踏みしめ、水たまりにできる波紋を感じ取っていきます。動きが揃っていなくても、正解や間違いはありません。やがて、波紋から小さな水滴が生まれるイメージへと広がっていきました。生まれた水滴を、手のひらですくってそっと隣の人に手渡すように、体を使ってつないでいきます。水滴の動きがあまりにも自然に溶け合っていて、皆がひとつの同じイメージを共有しているように感じられました。
▲それぞれの雨のイメージを体で表します。
▲参加者の輪のなかにはイメージの水たまりが見えてきます。
▲いま、ここを噛み締めて息を合わせます。
▪️呼吸を合わせて、からだで対話する

 つづいて、布を使ったペアのワークが始まりました。ひとつの布を二人で持ち、引いたりゆるめたり。どちらかが主導したり、受け取ったりを繰り返しながら、まるで静かな会話をしているような動きになっていきます。
▲呼吸を合わせながら動く参加者とともに優雅に舞う布たち。
 見ているだけのつもりだった私も、気づけば体が自然に動き出していました。参加者たちのやさしい動きや、温かな雰囲気に引き込まれて、ふと笑顔になり、呼吸が深くなって、肩の力が抜けていく感覚がありました。

少しの休憩時間のあと、今度は私も、参加者に混ぜてもらうことになりました。

▪️指先に風を感じながら、「いまここ」を共有する

 休憩を終えたあと、私たちは、両手を前にかざして、指の間を通り抜ける風を感じるワークから始めました。そっと手を開いたり閉じたりしながら、風の流れをたしかめます。そこから、風が運んでくる香りや音、空気の揺らぎにも意識を向けていきます。静かに目を閉じると、想像の中で全身が風と一体になっていくような感覚が広がっていきます。

そんな中、ナビゲーターの長澤さんが「風に舞うたんぽぽの綿毛」という新たなイメージを提案します。私たちはそのイメージを受け取りながら、隣の人へとそっとつなぎ渡していきました。
▲指先から全身へ、風を感じていきます。
▲そっと綿毛のイメージを渡していきます。
▲ときには、お腹や足など全身を使って。
 そして、最後には息を合わせて、その綿毛のイメージをふわっと空高く飛ばしました。驚いたのは、他の参加者と一緒に同じ風景をイメージしているような感覚になる瞬間があったこと。それぞれの描く風景は、きっと少しずつちがっていたはずです。それでも、言葉を交わすことなく、空間や呼吸、動きが自然とひとつになっていく。その感覚はとても心地よく、感動的ですらありました。

▪️はじめての、自分のままでいられるダンス

それぞれが体験した「いま、ここ」。最後に聞いた、参加者の声も印象的でした。

初めての参加でしたが、自分の好きなようにイメージして表現できるので、思っていたよりずっとハードルが低くて安心しました。

何度か通っているうちに少しずつ慣れてきて、気がつけば自然に体が動くようになって自分でも驚きました。

最初はやっぱり緊張もあったし、恥ずかしさもありましたが、周りのみんなと一緒に動いているうちに、とても楽しくなっていきました。

 感じること、想像すること、誰かと共有すること。それらをゆっくりと味わうことが、これほどまでに満たされる体験だとは思いませんでした。それぞれが、さまざまな生活や背景を持ちながらも、ふだんの役割からそっと離れ、自分でいられる空間がそこにあったからかもしれません。
また、先導してくれるナビゲーターお二人の声かけも、落ち着いた優しいトーンで、焦らせることなく一人ひとりのペースを大切にしてくれるものでした。そのゆったりとした語りかけに、自然と安心感が生まれ、心も体もほどけていくようでした。日々忙しく過ごす中で、ほんのひととき、自分の呼吸とからだに耳を澄ませる——そんな時間を、また持ってみたいと思います。



「いまここダンス」は、障がいの有無や年齢、ダンス経験を問わず、どなたでも参加可能です。車いすの方も一緒に楽しむことができ、今この場にいるみんなで「今、ここだけの特別なひととき」を目指してつくられています。ぜひ足を運んでみてください。


MAGAZINE vol.1

2025-04-30
注目オススメ
柏ワガママ学園文化祭レポート:ワガママがつなぐぬくもりの輪
▪️柏ワガママ会議はワガママを大切にする会議

「ワガママ会議」と聞くと、好き放題に主張し合う集まりを想像するかもしれません。しかし、柏ワガママlab.でのワガママは自己中心的なものではなく、それぞれの“こうしたい”や“こうなったらいいのになぁ”という希望を指します。そんなワガママを大切にする場、それが柏ワガママlab.が主催する柏ワガママ会議です。

柏市社会福祉協議会のホームページでは以下のように説明があります。
-日々の生活の中で、あきらめていることや我慢していること本当はこうなったらいいのになぁと思っていること、そんな気持ちを私たちは「ワガママ」と呼んでいます。柏ワガママLabは、”ワガママ”をひもといていくことをキッカケに地域の皆さんと一緒に課題解決に取り組んでいます。-

柏ワガママ会議は柏市に携わる誰もが参加でき、私もイチ参加者として参加していました。回ごとに新たな顔ぶれで開かれる会議は毎度空気感が異なり、独特の臨場感を味わえます。参加するたびに、自分の中に潜んでいた可能性に気づくことができ、他の参加者の強みや個性、さらには弱ささえも魅力として伝えることができる場所にもなっていました。

▪️1人のこえから始まった文化祭プロジェクト

2024年1月から始まったワガママ会議、定期的な開催の中でそれぞれのワガママがプロジェクトとして続々と形になっていきました。そして、ワガママ会議から生まれたそれぞれのプロジェクトを、誰もが先生にも生徒にもなれる「ワガママ学園」の授業や活動の一環として展開しています。

それは2024年11月のワガママ会議のこと。ある参加者が、『文化祭したことないからしてみたい!』と話しました。私は、これまで参加したワガママ会議で、誰かの意見を否定する場面を見たことがありません。もちろんこの日も満場一致で賛同、ワガママ学園の大きなプロジェクトとして始動することになりました。文化祭には何がほしい?、何がしたい?、何ができる?などなど、参加者たちのワガママなアイデアが溢れます。さらに、中にはあの人のワガママとのコラボレーションも面白そうだ!とひらめきはぐんぐん広がります。こうして、約4ヶ月の準備期間で実現するワガママ学園文化祭が誕生したのです。

▪️文化祭に向けた準備の日々、それぞれのワガママが芽をつける

プロジェクト発足後、発案者の彼女が実行委員長となり、定期的なミーティングを重ねます。そして、計画的にそれぞれの担当による準備が進められていきました。
会場はラコルタ柏の2階フロア全体を使用するという大規模開催に決定。実行委員たちは「文化祭やるなら、柏のまちごと巻き込もう!」と、地域の方々にも出店に向けた声掛けをしていきます。すると、地域住民や関係者からも出店や協力の声が続々と寄せられました。一方では、現役高校生の副委員長が中心となったフォトブースの設置も進行。そんな色々な動きを、ワガママ学園を運営する柏社協職員がサポート。それぞれのワガママがみるみるカタチになっていきました。開催日が迫るなか、さあ、どうなるワガママ学園文化祭・・・!

▪️いざ文化祭当日、咲き誇ったワガママたち

2024年3月24日、ついに迎えた文化祭当日。会場には、少し緊張しながらもワクワクした表情の実行委員やボランティアが集まってきました。いよいよ開幕の時間です!
▲準備を整える実行委員・ボランティアたち。
▲受付にはぞくぞくと来場者が!
盛りだくさんの出店ブース、タイムテーブルぎっしりのステージパフォーマンス、集まったボランティアやお客さんで会場は大賑わい。
オープニング挨拶の後、さっそく飛び出したのは笑顔満点のTaYoSeiさん・パンプキンワゴンさんのオタ芸・演奏。元気いっぱいのスタートに会場の空気が一気に温まります。
▲受付で配布されるタイムスケジュール、裏面には会場マップ
ブースエリアでは、個性豊かな出展者たちが思い思いの“こうしたい”を形にしていました。立体的な3Dラテアートやカラフルなチョークアートなどの体験、理科大生によるワークショップ、ボードゲームブース、美大生による書道おみくじワークショップなど、どのブースにも来場者の笑顔があふれていました。

*ブース・ワークショップ出店(順不同)
・学生無料のランチブース
(多国籍料理(ベトナム料理中心)、サンドイッチ、デザートなど)
・ゆれて可愛い3Dラテアート
・キラキラレジンキーホルダー作り
・オイルチョークでキレイなグラデーションを楽しむチョークアート体験
・勝負だ!カジノ
・ドキドキどっきり射的
・大学生による大学生らしい相談会
・今年の運をかけて!おみくじ
・名前が上手にかける書道教室
・楽しく遊ぼうボードゲーム
・すてきな思い出作ろうフォトブース


▲サンドイッチを提供してくれた、認定NPO法人いもむしさん。
▲ボードゲームブースでは見たことない!初めて!のゲームを楽しむ方が続出!
▲手づくりのポップコーンにほっと一息空間
▲フォトブースも大活躍!
▲アイデアたっぷりのおみくじも美大生のお手製!
▲チョークアートやラテアート、レジンなど体験型ワークショップにみんなが夢中。
ステージパフォーマンスも充実そのもの。歌唱あり、映画上映あり、e-sports体験あり、アコースティックギター演奏、民族舞踊あり。ワークショップでも活躍してくれた美大生の書道パフォーマンスはダイナミックそのもの。華やかなフラダンスやコラボステージでは、客席とステージの垣根を越えて会場が踊る、参加者も運営スタッフも一体となる感動的なシーンが生まれました。まさに文化祭の名にふさわしい多様なプログラムでした。

*ステージパフォーマンス(順不同)
・ブレットプルーフラブさんの演奏
・映画上映(若者へのメッセージ)
・有志によるカラオケ
・民族舞踊
・レアさんによるフラダンス
・ワークスアコースティックバンドさんの演奏
・TaYoSeiさん・パンプキンワゴンさんによるオタ芸・演奏
・e-sports
・書道パフォーマンス

途中、会場をさらに盛り上げたのが「係活動」。SDGsをもじって設定された18のユニークな係に、来場者全員が参加します。突然のそのそ歩きだす「ゾンビ係」、「ポーズ決める係」が通路でキメ顔、「ごますり係」は全力でおだてる・・・どの係も自由でちょっと笑えて、でも確かにその人らしさを引き出すようなものでした。
 

*係名
・国民の「よっ友」係
・気がかり係
・ゾンビ係
・出身地を聞いて回る係
・かっこつける係
・つま先立ち係
・小さな幸せに気づかされる係
・ブースの人と一言話する係
・3歩進んで2歩下がる係
・ごますり係
・急に立ち止まってポージングする係
・好きな人聞いて回る係
・褒める係
・ライブを盛り上げる係
・転ぶ係(ずっこける係)
・海がめ係
・かんぱい係
・自分で考える係

それぞれのワガママが、世代や背景も立場も越えて、笑顔になって咲き誇り、文化祭という舞台に彩りを添えていました。


▲多様なプログラムが会場を彩るステージの一幕
▪️集まった人の数だけあるワガママというぬくもり

文化祭の締めくくりとして、フィナーレでは実行委員長がすべての参加者や関係者への感謝の気持ちを伝えました。その言葉は、この日ここに居た、そして携わったすべての人々が思わず胸がいっぱいになるものでした。
この文化祭には、参加するすべての人がそれぞれに“こうしたい”といった、ワガママを持って参加したのではないでしょうか。私は、集まった個性あふれるワガママのなかに温かい「ぬくもり」が隠れていることに気付かされました。それは、一人ひとりの“こうしたい”や“こうなったらいいのになぁ”が受け入れられる安心感で、お互いを認め合える実感を共有できていたからです。柏ワガママ学園文化祭ではそんな「ぬくもり」が交差し、参加者の笑顔が連鎖していました。多くの人々の想いと準備が重なり、一つの場所にぬくもりの輪がうまれた時間でした。
もし、あの日の『文化祭してみたい!』がなければ、このぬくもりの輪は生まれなかったかもしれません。この文化祭はたった1人の声から始まりましたが、その結果、参加者一人ひとりの個性や情熱が集まり、地域全体に温かみと新たな可能性を生み出す大きなきっかけとなったのです。まずは1人の「ワガママ」を全員で認めてみるところから、他の誰かの隠れた想いや力が見つかり、連鎖してカタチとなる。そうすることによって誰かと誰かのワガママをつなぐブリッジができたように感じます。
2024年度の柏ワガママLab.の集大成を感じるとともに、「ワガママがぬくもりになる」そう思える文化祭がここにありました。

文・office hasukai   
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