ワガママMAGAZINE
vol.10 NPO法人いもむしのごはん便:月に1度、湯気の立つエネルギー交換
2026-02-20
注目オススメNEW
2026年1月8日(木)、この日は月に1度のNPO法人いもむし(以下、NPOいもむし)からごはんが届く『おむすびの会』が開かれた。月に1度を目安に続いてきたこの取り組みは、スタートしてちょうど1年が経つ。夕食前の空腹をくすぐる香りが広がるラコルタ柏にて、NPOいもむしがごはんを届ける思いを聞いた。
◼︎「ごはんを食べさせたい」から始まった思いの連鎖
柏市でNPOとして活動する『いもむし』さんは、ふだん放課後等デイサービスと生活介護の2事業を運営しながら、地域に向けた食の場もつくっている。もともとNPOいもむしが子ども食堂を開催していた拠点がなくなってしまい、新たな拠点を探していた。一方、ラコルタ柏では柏市社会福祉協議会(以下、市社協)が主催するイベントに集まる子どもたちに「ごはんを食べさせたい!」という思いがあった。お互いの思いを知った両者共通の知人を介してつながり、この取り組みがスタートした。
◼︎手づくりごはんの向こう側—続ける体制と訪れる人々
◼︎「ごはんを食べさせたい」から始まった思いの連鎖
柏市でNPOとして活動する『いもむし』さんは、ふだん放課後等デイサービスと生活介護の2事業を運営しながら、地域に向けた食の場もつくっている。もともとNPOいもむしが子ども食堂を開催していた拠点がなくなってしまい、新たな拠点を探していた。一方、ラコルタ柏では柏市社会福祉協議会(以下、市社協)が主催するイベントに集まる子どもたちに「ごはんを食べさせたい!」という思いがあった。お互いの思いを知った両者共通の知人を介してつながり、この取り組みがスタートした。
◼︎手づくりごはんの向こう側—続ける体制と訪れる人々
準備する食数は当初から50人程度を想定している。小学生、中学生、高校生、親子、高齢の方など、参加者の年齢層は毎回さまざまで、市社協が人数や構成を確認しながら進めてきた。
調理を担うのは主にNPOいもむし理事長の佐藤さん(以下、佐藤さん)で、加えて事務員さんに手伝ってもらう日もあるが、1人から2人で行っている。「大変なことはできない」「できる範囲で続けられること」、無理なく続ける形を選んでいるということが活動を続けられる秘訣のようにも感じた。NPOいもむしが運営する生活介護を利用する方々には重度障がいのある方もいるが、過去の子ども食堂では手伝える方と一緒に食事を運んだりしていたそうだ。
続けるなかで見えてきたのは、中高生がとても多く食べに来ているということだった。ラコルタ柏2Fの多世代交流スペースでは、夕方、多くの学生が勉強に来ていることも一つの理由になっている。また、ここは、家や家族、学校などで何らかの事情を抱える子どもたちの声が聞こえてくる場所でもある。「家でカレーを食べたことがない」「人と食事をしたことがない、少ない」、そうした言葉を日頃から受け止めている市社協の担当者だからこそ、佐藤さんもその話に強く心を動かされたという。「本当に届けたいのはそういう子たち。届けられてよかったな、と感じている。」と話す佐藤さん。
調理を担うのは主にNPOいもむし理事長の佐藤さん(以下、佐藤さん)で、加えて事務員さんに手伝ってもらう日もあるが、1人から2人で行っている。「大変なことはできない」「できる範囲で続けられること」、無理なく続ける形を選んでいるということが活動を続けられる秘訣のようにも感じた。NPOいもむしが運営する生活介護を利用する方々には重度障がいのある方もいるが、過去の子ども食堂では手伝える方と一緒に食事を運んだりしていたそうだ。
続けるなかで見えてきたのは、中高生がとても多く食べに来ているということだった。ラコルタ柏2Fの多世代交流スペースでは、夕方、多くの学生が勉強に来ていることも一つの理由になっている。また、ここは、家や家族、学校などで何らかの事情を抱える子どもたちの声が聞こえてくる場所でもある。「家でカレーを食べたことがない」「人と食事をしたことがない、少ない」、そうした言葉を日頃から受け止めている市社協の担当者だからこそ、佐藤さんもその話に強く心を動かされたという。「本当に届けたいのはそういう子たち。届けられてよかったな、と感じている。」と話す佐藤さん。


◼︎共に感じる食べる喜び
この日のメニューは、ホワイトシチュー。大きなお鍋に2つ分、煮込んで持って来てくれた。一緒に持ってきてくれたパンを添えたり、市社協が炊いた白飯にかけたりとそれぞれ思い思いに楽しんでいた。佐藤さんと私も、その場にいた方々と一緒にホワイトシチューをいただいた。これまで佐藤さんは、準備や配布までの滞在が中心で、提供したごはんを食べる人の姿を落ち着いて見る機会が少なかったという。たくさんの人が列を作って待っている光景や、もりもり頬張って食べる子ども・学生・家族の姿を、佐藤さんがあたたかい目で見渡していた。
「人が食べているのって嬉しいですよね。食べているとき、人はみんな同じで、子どもでも、障がいがあってもなくても、高齢の方でも、〝食べる〟っていうことに関して共通なのかな。それもまた嬉しい。」と佐藤さんが話した直後、隣で食べていた小学生から「おいしかった!お腹いっっぱい!」と大きな声が聞こえて、思わず周りに笑い声が響いた。最後に佐藤さんが「嬉しい顔見て、嫌な人いないよね(笑)」と笑い、こちらまでつられて頬がゆるんだ。
ごはんを届けることに加えて、このような開けた場所で、みんなで同じごはんを食べる経験をしてもらうことが、ラコルタ柏で活動している意味になっているという。この場所がそのような場所になってきていることへの喜びがこぼれていた。
◼︎食をこえて生まれるエネルギーの交換
ごはんを作って届ける、届いたごはんを笑顔で食べる人がいる、この循環について佐藤さんが表した『エネルギーの交換』という言葉が大変印象的だった。「私はごはんを作るエネルギーを送って、『おいしい』というエネルギーを返してもらっているとすごく感じている。私の方が得しているんじゃないかな?とさえ思う。毎日の自宅での食事もそうで、家族で『おいしい』や『ありがとう』が交換できると嬉しいですよね。」と話す佐藤さんの笑顔から、共に感じて交換し合うエネルギーは食をこえて生まれてくるものだと感じた。
「人が食べているのって嬉しいですよね。食べているとき、人はみんな同じで、子どもでも、障がいがあってもなくても、高齢の方でも、〝食べる〟っていうことに関して共通なのかな。それもまた嬉しい。」と佐藤さんが話した直後、隣で食べていた小学生から「おいしかった!お腹いっっぱい!」と大きな声が聞こえて、思わず周りに笑い声が響いた。最後に佐藤さんが「嬉しい顔見て、嫌な人いないよね(笑)」と笑い、こちらまでつられて頬がゆるんだ。
ごはんを届けることに加えて、このような開けた場所で、みんなで同じごはんを食べる経験をしてもらうことが、ラコルタ柏で活動している意味になっているという。この場所がそのような場所になってきていることへの喜びがこぼれていた。
◼︎食をこえて生まれるエネルギーの交換
ごはんを作って届ける、届いたごはんを笑顔で食べる人がいる、この循環について佐藤さんが表した『エネルギーの交換』という言葉が大変印象的だった。「私はごはんを作るエネルギーを送って、『おいしい』というエネルギーを返してもらっているとすごく感じている。私の方が得しているんじゃないかな?とさえ思う。毎日の自宅での食事もそうで、家族で『おいしい』や『ありがとう』が交換できると嬉しいですよね。」と話す佐藤さんの笑顔から、共に感じて交換し合うエネルギーは食をこえて生まれてくるものだと感じた。


◼︎等身大で伝える知ることの大切さ
活動自体は、日常的の食の提供だから特別な達成感のあるものではないが、胸があたたかくなる気持ちが残っていくし、蓄積されていくという。他の職員にも活動に参加してほしい思いがあるものの、日常業務もあり難しいのが現状。それでも先日、ある事業所の職員から「クリスマス会にカレーを手作りする」という声が上がり、嬉しい伝播を感じている。利用される方の特性上、言葉だけでなくリアクションや表情、うごきなどで、また別の形の『エネルギーの交換』も生まれたのかもしれない。
佐藤さんは、柏市のまちの人々に、家や家族、学校などで何か事情を抱える子どもたちがいること、さまざまな背景の人がいること、そしてこのような活動があることを知ってもらうきっかけになれば、とも話す。日常では気にもとめないことかもしれないし、そんな暇はないかもしれない。それでも、何もできなくてもいいから、1人でもまず知るだけでも意味がある、広く知ってもらえる機会が増えたらいいと思っている。
活動自体は、日常的の食の提供だから特別な達成感のあるものではないが、胸があたたかくなる気持ちが残っていくし、蓄積されていくという。他の職員にも活動に参加してほしい思いがあるものの、日常業務もあり難しいのが現状。それでも先日、ある事業所の職員から「クリスマス会にカレーを手作りする」という声が上がり、嬉しい伝播を感じている。利用される方の特性上、言葉だけでなくリアクションや表情、うごきなどで、また別の形の『エネルギーの交換』も生まれたのかもしれない。
佐藤さんは、柏市のまちの人々に、家や家族、学校などで何か事情を抱える子どもたちがいること、さまざまな背景の人がいること、そしてこのような活動があることを知ってもらうきっかけになれば、とも話す。日常では気にもとめないことかもしれないし、そんな暇はないかもしれない。それでも、何もできなくてもいいから、1人でもまず知るだけでも意味がある、広く知ってもらえる機会が増えたらいいと思っている。

◼︎特別じゃない〝食べる〟を届ける
ごはんの提供開始から1時間ほど経つ頃、お鍋は空っぽになっていた。月に1度のこの活動を楽しみにしている人もいる。活動を続けるなかで、佐藤さんは小さな縁の大切さを実感している。食べることは毎日のことだから、特別なことではない。けれど、その特別ではないことが当たり前にできない子もいる。だからこそ、ここで湯気の立つあたたかいごはんをおいしく食べて、少し元気になって、また明日につながってくれたらいい。ホワイトシチューには佐藤さんが毎月手づくりのごはんを届けている思いが伝わるぬくもりがあった。湯気の向こうで「おいしい」が交わされるこの場所には、たくさんのエネルギーとみんなの〝嬉しい〟が溢れている。
ごはんの提供開始から1時間ほど経つ頃、お鍋は空っぽになっていた。月に1度のこの活動を楽しみにしている人もいる。活動を続けるなかで、佐藤さんは小さな縁の大切さを実感している。食べることは毎日のことだから、特別なことではない。けれど、その特別ではないことが当たり前にできない子もいる。だからこそ、ここで湯気の立つあたたかいごはんをおいしく食べて、少し元気になって、また明日につながってくれたらいい。ホワイトシチューには佐藤さんが毎月手づくりのごはんを届けている思いが伝わるぬくもりがあった。湯気の向こうで「おいしい」が交わされるこの場所には、たくさんのエネルギーとみんなの〝嬉しい〟が溢れている。




