ワガママMAGAZINE
vol.2 体験レポート:からだと想像力がつながる、「いま、ここ」を感じるダンス
2025-05-30
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雨がしとしとと降る4月の午後、私は「いまここダンス」というユニークなダンスイベントに参加しました。パーキンソン病やALSなど身体に制限がある方も一緒に楽しめる、いすに座ったまま感じるダンス。ダンスが苦手でも体がかたくても、ここでは何も問題ではありません。必要なのは、ほんの少しの想像力と「いま、ここ」にいるという感覚だけ——
ゆっくりといすに座ったまま、体をほぐしたり揺らしたり伸ばしたり。「いまここダンス」は、ときに季節や天気、音楽やアートなどから着想を得たテーマに沿って、想像力を自由に広げながら身体を動かします。筋トレやリハビリなど何かを改善するものではなく、また上手に踊ることを目指すものでもありません。誰もが、自分のペースで安心して参加できるバリアフリーな空間です。ナビゲーターは市川さんと長澤さん。先導してもらいながら自由な発想で身体が動き出します。
ゆっくりといすに座ったまま、体をほぐしたり揺らしたり伸ばしたり。「いまここダンス」は、ときに季節や天気、音楽やアートなどから着想を得たテーマに沿って、想像力を自由に広げながら身体を動かします。筋トレやリハビリなど何かを改善するものではなく、また上手に踊ることを目指すものでもありません。誰もが、自分のペースで安心して参加できるバリアフリーな空間です。ナビゲーターは市川さんと長澤さん。先導してもらいながら自由な発想で身体が動き出します。
▪️雨から生まれるダンス、それぞれのいま
この日の天気は雨。自己紹介とともに、参加者それぞれが雨を思い浮かべながら、手や腕、身体の一部をゆっくりと動かし始めました。ある人は、空からしとしとと降る雨。ある人は、雨上がりの空にかかる虹。またある人は傘の重さ、濡れた髪の感触を表現します。同じ雨でも、こんなに違うんだ、と見ている私も楽しくなりました。
この日の天気は雨。自己紹介とともに、参加者それぞれが雨を思い浮かべながら、手や腕、身体の一部をゆっくりと動かし始めました。ある人は、空からしとしとと降る雨。ある人は、雨上がりの空にかかる虹。またある人は傘の重さ、濡れた髪の感触を表現します。同じ雨でも、こんなに違うんだ、と見ている私も楽しくなりました。
ナビゲーターの市川さんの先導で、それぞれの雨のイメージが、やがて地面に広がる水たまりへと変化していきます。
参加者たちは足を踏みしめ、水たまりにできる波紋を感じ取っていきます。動きが揃っていなくても、正解や間違いはありません。やがて、波紋から小さな水滴が生まれるイメージへと広がっていきました。生まれた水滴を、手のひらですくってそっと隣の人に手渡すように、体を使ってつないでいきます。水滴の動きがあまりにも自然に溶け合っていて、皆がひとつの同じイメージを共有しているように感じられました。
参加者たちは足を踏みしめ、水たまりにできる波紋を感じ取っていきます。動きが揃っていなくても、正解や間違いはありません。やがて、波紋から小さな水滴が生まれるイメージへと広がっていきました。生まれた水滴を、手のひらですくってそっと隣の人に手渡すように、体を使ってつないでいきます。水滴の動きがあまりにも自然に溶け合っていて、皆がひとつの同じイメージを共有しているように感じられました。

▲それぞれの雨のイメージを体で表します。

▲参加者の輪のなかにはイメージの水たまりが見えてきます。

▲いま、ここを噛み締めて息を合わせます。
▪️呼吸を合わせて、からだで対話する
つづいて、布を使ったペアのワークが始まりました。ひとつの布を二人で持ち、引いたりゆるめたり。どちらかが主導したり、受け取ったりを繰り返しながら、まるで静かな会話をしているような動きになっていきます。
つづいて、布を使ったペアのワークが始まりました。ひとつの布を二人で持ち、引いたりゆるめたり。どちらかが主導したり、受け取ったりを繰り返しながら、まるで静かな会話をしているような動きになっていきます。

▲呼吸を合わせながら動く参加者とともに優雅に舞う布たち。

見ているだけのつもりだった私も、気づけば体が自然に動き出していました。参加者たちのやさしい動きや、温かな雰囲気に引き込まれて、ふと笑顔になり、呼吸が深くなって、肩の力が抜けていく感覚がありました。
少しの休憩時間のあと、今度は私も、参加者に混ぜてもらうことになりました。
▪️指先に風を感じながら、「いまここ」を共有する
休憩を終えたあと、私たちは、両手を前にかざして、指の間を通り抜ける風を感じるワークから始めました。そっと手を開いたり閉じたりしながら、風の流れをたしかめます。そこから、風が運んでくる香りや音、空気の揺らぎにも意識を向けていきます。静かに目を閉じると、想像の中で全身が風と一体になっていくような感覚が広がっていきます。
少しの休憩時間のあと、今度は私も、参加者に混ぜてもらうことになりました。
▪️指先に風を感じながら、「いまここ」を共有する
休憩を終えたあと、私たちは、両手を前にかざして、指の間を通り抜ける風を感じるワークから始めました。そっと手を開いたり閉じたりしながら、風の流れをたしかめます。そこから、風が運んでくる香りや音、空気の揺らぎにも意識を向けていきます。静かに目を閉じると、想像の中で全身が風と一体になっていくような感覚が広がっていきます。
そんな中、ナビゲーターの長澤さんが「風に舞うたんぽぽの綿毛」という新たなイメージを提案します。私たちはそのイメージを受け取りながら、隣の人へとそっとつなぎ渡していきました。

▲指先から全身へ、風を感じていきます。


▲そっと綿毛のイメージを渡していきます。


▲ときには、お腹や足など全身を使って。
そして、最後には息を合わせて、その綿毛のイメージをふわっと空高く飛ばしました。驚いたのは、他の参加者と一緒に同じ風景をイメージしているような感覚になる瞬間があったこと。それぞれの描く風景は、きっと少しずつちがっていたはずです。それでも、言葉を交わすことなく、空間や呼吸、動きが自然とひとつになっていく。その感覚はとても心地よく、感動的ですらありました。
▪️はじめての、自分のままでいられるダンス
それぞれが体験した「いま、ここ」。最後に聞いた、参加者の声も印象的でした。
初めての参加でしたが、自分の好きなようにイメージして表現できるので、思っていたよりずっとハードルが低くて安心しました。
何度か通っているうちに少しずつ慣れてきて、気がつけば自然に体が動くようになって自分でも驚きました。
最初はやっぱり緊張もあったし、恥ずかしさもありましたが、周りのみんなと一緒に動いているうちに、とても楽しくなっていきました。
▪️はじめての、自分のままでいられるダンス
それぞれが体験した「いま、ここ」。最後に聞いた、参加者の声も印象的でした。
初めての参加でしたが、自分の好きなようにイメージして表現できるので、思っていたよりずっとハードルが低くて安心しました。
何度か通っているうちに少しずつ慣れてきて、気がつけば自然に体が動くようになって自分でも驚きました。
最初はやっぱり緊張もあったし、恥ずかしさもありましたが、周りのみんなと一緒に動いているうちに、とても楽しくなっていきました。
感じること、想像すること、誰かと共有すること。それらをゆっくりと味わうことが、これほどまでに満たされる体験だとは思いませんでした。それぞれが、さまざまな生活や背景を持ちながらも、ふだんの役割からそっと離れ、自分でいられる空間がそこにあったからかもしれません。
また、先導してくれるナビゲーターお二人の声かけも、落ち着いた優しいトーンで、焦らせることなく一人ひとりのペースを大切にしてくれるものでした。そのゆったりとした語りかけに、自然と安心感が生まれ、心も体もほどけていくようでした。日々忙しく過ごす中で、ほんのひととき、自分の呼吸とからだに耳を澄ませる——そんな時間を、また持ってみたいと思います。
「いまここダンス」は、障がいの有無や年齢、ダンス経験を問わず、どなたでも参加可能です。車いすの方も一緒に楽しむことができ、今この場にいるみんなで「今、ここだけの特別なひととき」を目指してつくられています。ぜひ足を運んでみてください。



