ワガママMAGAZINE
vol.11 出会いとことばが交わる居場所:かしわの手話カフェ
2026-02-20
2026年2月21日(土)、ラコルタ柏にて一般社団法人コミュニケーションセンターかしわ(以下、コミセンかしわ)による『手話カフェ』が開催された。午前10時から午後4時まで、好きな時間に訪れることができる。聞こえない人も、手話に興味のある人も、気軽にコミュニケーションできる場になっている。コミセンかしわの伊丹信子(いたみのぶこ)さんから伺ったお話と、当日の様子をお届けします。
◼︎コミセンかしわの手話カフェのかたち
◼︎コミセンかしわの手話カフェのかたち



会場にはいくつものテーブルがゆったりと並び、コーヒーやお菓子が購入できるよう用意されている。お昼前にはおむすびも加わった。各テーブルにはホワイトボードも置かれ、手話だけでなく筆談でもやりとりできる工夫がある。
2025年度はこの日が4回目の開催。4年前に始まり、回数を重ねてきた。1回の開催で平均60〜90人が参加し、年齢は0歳の赤ちゃんから70代、80代までと幅広い。柏市内からの参加が中心だが、千葉県中途失聴者・難聴者協会などのつながりを通じて近隣市や県外から足を運ぶ人もいる。リピーターも多い一方で、開催前には参加を考えている人から「手話ができなくても大丈夫ですか」「何時に行けばいいですか」といった問い合わせもある。全国的には手話カフェの取り組みは広がりつつあるが、千葉県内ではまだ多くはないという。
リピーターの方々はもちろん、初めて参加される方にも楽しんでいただけるようプログラムや雰囲気づくり、声かけなどを意識している。この日のプログラムは3つ。手話体験、プリザーブドフラワー体験(ワンコイン500円)、そして手話語り。いずれも午前と午後に1回ずつ行われる。
◼手を動かして、豊かなことばを知る
10:30から始まったのは手話体験。時事ネタなどをテーマにスタッフと参加者がやりとりをする。私自身、手話は初めてだった。今回はバレンタインやオリンピックをテーマに、スタッフの動きをまねながら手を動かす。意味が視覚的に伝わる表現も多く、「なるほど」と感じる瞬間が何度もあった。手だけでなく、表情や口の動きも大切にする。その豊かな表現につられて、自然と顔の筋肉がほぐれていくのを感じた。
つづく、プリザーブドフラワー体験には10人ほどが参加。講師の手話での説明をしっかりと見つめ、制作が始まる。和気あいあいとした雰囲気の中で、それぞれが思い思いに集中する時間を過ごしていた。お互いに教え合い、協力し合って完成した色とりどりの花は、参加者の顔をより一層明るく変えていった。
2025年度はこの日が4回目の開催。4年前に始まり、回数を重ねてきた。1回の開催で平均60〜90人が参加し、年齢は0歳の赤ちゃんから70代、80代までと幅広い。柏市内からの参加が中心だが、千葉県中途失聴者・難聴者協会などのつながりを通じて近隣市や県外から足を運ぶ人もいる。リピーターも多い一方で、開催前には参加を考えている人から「手話ができなくても大丈夫ですか」「何時に行けばいいですか」といった問い合わせもある。全国的には手話カフェの取り組みは広がりつつあるが、千葉県内ではまだ多くはないという。
リピーターの方々はもちろん、初めて参加される方にも楽しんでいただけるようプログラムや雰囲気づくり、声かけなどを意識している。この日のプログラムは3つ。手話体験、プリザーブドフラワー体験(ワンコイン500円)、そして手話語り。いずれも午前と午後に1回ずつ行われる。
◼手を動かして、豊かなことばを知る
10:30から始まったのは手話体験。時事ネタなどをテーマにスタッフと参加者がやりとりをする。私自身、手話は初めてだった。今回はバレンタインやオリンピックをテーマに、スタッフの動きをまねながら手を動かす。意味が視覚的に伝わる表現も多く、「なるほど」と感じる瞬間が何度もあった。手だけでなく、表情や口の動きも大切にする。その豊かな表現につられて、自然と顔の筋肉がほぐれていくのを感じた。
つづく、プリザーブドフラワー体験には10人ほどが参加。講師の手話での説明をしっかりと見つめ、制作が始まる。和気あいあいとした雰囲気の中で、それぞれが思い思いに集中する時間を過ごしていた。お互いに教え合い、協力し合って完成した色とりどりの花は、参加者の顔をより一層明るく変えていった。

▲手話体験の様子、右の写真では「イタリア」の手話を体験中。


▲プリザーブドフラワー体験の様子。

11:45になり、コミセンかしわ代表の木村さんによる手話語りが始まる。絵本も台本も持たないストーリーテリングの演目は『笠地蔵』。当初は手話紙芝居から始まり、試行錯誤を重ねて現在の形になった。手話が分からなくても、手話の世界を視覚的に楽しんでほしいという思いがある。
語りが始まると、会場全体が一つの物語に集中する。手の動き、間、視線、表情が細やかに情景を伝える。手話が分からない私にも、出来事や感情が届いたように感じた。
◼︎初めましてから久しぶりまでを囲むテーブル
プログラムが進行する一方、各テーブルでは、手話や筆談などを交えながらの会話、手話を教え合う声が入り混じって、楽しい会話が続いている。地域の友人と来る人もいれば、一人で訪れて新たな出会いを重ねる人もいる。この日も、柏市の手話講座で出会った人同士が再会したり、「ずっと興味はあったけれど、実際に会話するのは初めて」という参加者がいた。手話には地域ごとの表現の違いもあり、柏市には移住者も多い。回を重ねるなかで互いの表現を知り、理解し合っていく場所にもなっている
語りが始まると、会場全体が一つの物語に集中する。手の動き、間、視線、表情が細やかに情景を伝える。手話が分からない私にも、出来事や感情が届いたように感じた。
◼︎初めましてから久しぶりまでを囲むテーブル
プログラムが進行する一方、各テーブルでは、手話や筆談などを交えながらの会話、手話を教え合う声が入り混じって、楽しい会話が続いている。地域の友人と来る人もいれば、一人で訪れて新たな出会いを重ねる人もいる。この日も、柏市の手話講座で出会った人同士が再会したり、「ずっと興味はあったけれど、実際に会話するのは初めて」という参加者がいた。手話には地域ごとの表現の違いもあり、柏市には移住者も多い。回を重ねるなかで互いの表現を知り、理解し合っていく場所にもなっている

▲手話語りの様子。



◼︎一人ひとりの声が次の一歩をつくる
こうした場を支えているコミセンかしわは、手話通訳や要約筆記の事業を行っている団体だ。さらに、訪問介護事業を担う「訪問介護ステーションこみせん」も設立している。ろう者のホームヘルパーや、手話や要約筆記ができる介護福祉士が在籍し、ろう者やその家族の生活をサポートできるよう体制を整えてきた。もともとは一人の声をきっかけに3年をかけて立ち上げ、13年が経つ。
手話カフェの始まりも一人ひとりの声だった。聞こえない・聞こえにくいという理由で外出や交流に不安を抱える人がいる。ここに来ればコミュニケーションを楽しめる、会話ができる、とそんな安心できる居場所をつくりたかったという。
こうした場を支えているコミセンかしわは、手話通訳や要約筆記の事業を行っている団体だ。さらに、訪問介護事業を担う「訪問介護ステーションこみせん」も設立している。ろう者のホームヘルパーや、手話や要約筆記ができる介護福祉士が在籍し、ろう者やその家族の生活をサポートできるよう体制を整えてきた。もともとは一人の声をきっかけに3年をかけて立ち上げ、13年が経つ。
手話カフェの始まりも一人ひとりの声だった。聞こえない・聞こえにくいという理由で外出や交流に不安を抱える人がいる。ここに来ればコミュニケーションを楽しめる、会話ができる、とそんな安心できる居場所をつくりたかったという。


◼︎非日常な居場所という安心感
「居場所をつくりたいという思いで始めました。ここは少し非日常の空間。知らない人だからこそ話せることもあると思います。出会いからすべてが始まるんですよね。」と伊丹さんは話す。
昨年の開催日、バレンタインデーが近かったことから『バレンタインの思い出』が話題になった。失恋の経験を語った男性に、「失恋はどう表すの?」という問いが出た。両手で作ったハートが割れる表現を教えると、彼は「ああ、ショック」と肩を落とした。周囲は笑いながらも温かく声をかけたという。帰り際、彼は「一人じゃないと感じた。話せてすっきりしました。」と話したそう。
参加者の中には、聞こえない子どもを育てる親子の姿もある。育児や将来への不安を抱えて訪れ、ろう者の参加者や同じ立場の保護者、スタッフと話すなかで安心や情報を得ているという。
◼︎出会いが、安心できる社会への想像をひらく
取材を終えて感じたのは、『出会い』は想像を広げる入口になるということ。手話ができない私は、この空間では少数派だった。最初は、コミュニケーションを取れないもどかしさがあった。しかし、覚えたてのいくつかの手話、筆談で手を動かし、視線を交わすなかで、相手の背景を少し想像する時間が生まれた。その気づきがこの先の興味や交流を育ててくれるのだと実感した。
出会いは点のように始まり、つながって線になっていく。手話カフェは、そんな出会いから始まる循環を広げている。手話や筆談などを交えて楽しく会話できる居場所として、手話に興味を持つ人のスタートの場として、大きな安心に包まれたこの手話カフェは地域に開かれている。
「居場所をつくりたいという思いで始めました。ここは少し非日常の空間。知らない人だからこそ話せることもあると思います。出会いからすべてが始まるんですよね。」と伊丹さんは話す。
昨年の開催日、バレンタインデーが近かったことから『バレンタインの思い出』が話題になった。失恋の経験を語った男性に、「失恋はどう表すの?」という問いが出た。両手で作ったハートが割れる表現を教えると、彼は「ああ、ショック」と肩を落とした。周囲は笑いながらも温かく声をかけたという。帰り際、彼は「一人じゃないと感じた。話せてすっきりしました。」と話したそう。
参加者の中には、聞こえない子どもを育てる親子の姿もある。育児や将来への不安を抱えて訪れ、ろう者の参加者や同じ立場の保護者、スタッフと話すなかで安心や情報を得ているという。
◼︎出会いが、安心できる社会への想像をひらく
取材を終えて感じたのは、『出会い』は想像を広げる入口になるということ。手話ができない私は、この空間では少数派だった。最初は、コミュニケーションを取れないもどかしさがあった。しかし、覚えたてのいくつかの手話、筆談で手を動かし、視線を交わすなかで、相手の背景を少し想像する時間が生まれた。その気づきがこの先の興味や交流を育ててくれるのだと実感した。
出会いは点のように始まり、つながって線になっていく。手話カフェは、そんな出会いから始まる循環を広げている。手話や筆談などを交えて楽しく会話できる居場所として、手話に興味を持つ人のスタートの場として、大きな安心に包まれたこの手話カフェは地域に開かれている。


