柏ワガママLab

社会福祉法人
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ワガママMAGAZINE

vol.13 “行ったり来たり”できる場所:あ・えーるテラス、2年目の春

2026-04-20
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新年度を迎え、柏市社会福祉協議会(以下、柏市社協)の重層的支援体制整備事業における「参加支援」の現場でも、新たなスタッフ体制がスタートした。

「参加支援」と聞いても、普段あまり耳にする言葉ではないかもしれない。この事業では、さまざまな理由で人との関わりや社会とのつながりに不安を抱える人が、安心して過ごせる場所や関係を地域の中につくっていく。
柏市社協では、2025年度よりリニューアルオープンした「あ・えーるテラス(ラコルタ柏1F)」などを通して、一人ひとりが自分のペースで過ごせる居場所づくりを行ってきた。事業として説明しようとすると、とたんに遠い話に聞こえてしまうけれど、実際に起きているのはもっと身近なことだ。

今回お話を伺ったのは、1年間現場に関わってきた旧・継続スタッフのみなさんと、新たに加わるスタッフ。取材を通して見えてきたのは、事業説明だけでは言い表せない、ともに育まれた時間や関係だった。

◼︎あ・えーるテラスとその人の歩み
「十人十色、千差万別という意味を改めて感じました。」

参加する人たちの育ってきた環境や背景、感じ方は、一人ひとり違う。だからこそ、「これが正解」という関わり方はない。参加者の一歩がなかなか出ないことを課題と捉えることもできる。でも、スタッフたちが意識してきたのは、変えることではなく、きっかけの種を蒔くことだった。

「人を変えるものではなくて、きっかけの種を蒔いていたいんです。」

表情だけでは測れない思いがある。調子のいい日もあれば、そうではない日もある。人との距離が近づく時もあれば、少し離れたくなる時もある。そんな揺れ戻しも含めて、その人自身の歩みとして知っていく。

印象的だったのは、ある参加者の変化について語られた場面。当初は、一人でフリースペースに来ることにも不安が強く、自分の意見を出すことが難しかったという参加者。しかし、3月のお楽しみ会では、率先して準備を手伝い、周囲を先導する姿が見られた。スタッフは、「元々持っていた力が、少しずつ自然に出てきたのだと思う」と振り返る。誰かが変えたのではなく、時間をかけて関わる中で、その人自身の力が少しずつ表れてきた。

「“行ったり来たり”すること自体が、その人のステップなんだと思っています。」

その言葉には、この場が大切にしてきた時間の積み重ねがにじんでいた。


◼︎ともに、育ってきた場所
あ・えーるテラスは、当初あえて細かなルールを作らずに始まったという。もちろんルールがあることで安心できる人もいる一方、これまでさまざまな場面で「決められること」に苦しさを感じてきた人もいる。だからこそ、この場所では「互いに歩み寄ること」を大切にしてきた。
当初はスタッフも参加者も手探りでがらんとしていたフリースペースには、徐々に個性が宿り、少しずつ形になってきた。最近では、参加者同士で自然に声を掛け合ったり、「ありがとう」という言葉が交わされたりする場面も増えてきた。
失敗してもいい、これでいい、と思えるようになったのは、参加者とスタッフが互いに助け合い、成長してきた時間があったからだという。参加者に対して何かを“してあげる”というよりも、時間をともにし、スタッフ自身もまた人との関わり方を考え続けてきた1年だった。

「また来たいと思ってもらえる場所」
「話していいと思える関係」
「感情に寄り添い、あり続けること」

旧・継続スタッフのみなさんから引き継ぎたいこととして挙がった言葉たちは、制度や仕組みではなく、関係や場の空気に関するものばかりだった。
3月末で退職するスタッフを見送る場面で、参加者の涙があった。言葉にならないその場面が、1年間の関係性を物語っていた。
◼︎引き継がれていく場の温度
この春から、新たなスタッフも加わった。以前の職場ではサポートする側として関わることが中心だったが、実際にこの事業に関わる中で、もともと持っていたイメージとの違いを感じているという。
「参加者が主人公。参加者に聞きながら業務を進めることが多いです。」

知識を豊富に持つ参加者から教えてもらうことが多く、知識欲もくすぐられている。傾聴に徹する場面が自然と増えるが、アドバイスを求める人もいれば、ただ聞いてほしいという人もいる。その違いを感じ取りながら、スタッフの価値観で決めつけず、その人の本質的な思いを汲み取ることの大切さと難しさを、肌で感じている。
関わり始めてまだ日が浅いが、歌が好きな人たちが一緒に歌う時間が印象的だったという。自分を解放できる瞬間や自分を表現できる場面があることに安心した。この場所が参加者の安心できる場所の一つになっていることを実感する瞬間でもあった。「気軽に来られて、さまざまな人が集まって豊かにつながれる場所になってほしい」と、これからへの思いも語ってくれた。


◼行ったり来たりしながら、次の季節へ
制度や事業として説明しようとすると、こぼれ落ちてしまうものが多くある。この場で起きていることにも、スタッフと参加者の関係性にも、決まった形はない。その実態に、制度や事業の本質が表れていて、『これをやれば正解』という定義では捉えきれないものだと考えられる。

この場所で大切にされてきたのは、特別な技術やマニュアルだけではない。スタッフが主導するのではなく、参加者と一緒に考える。専門職でなくてもいい、答えを出さなくてもいい。人は、ときに立ち止まりながら、行ったり来たりしながら進んでいく。だからこそ、その揺れも含めて受け止められる場所が、地域の中には必要なのかもしれない。
ただ、「ともに」いることを大切にしてきた。スタッフの変わらぬ思いが、2年目のあ・えーるテラスに引き継がれていく。
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