柏ワガママLab

社会福祉法人
柏市社会福祉協議会
―――――――――――――――――――
〒277-0005 
千葉県柏市柏5丁目11番8号
介護予防センターいきいきプラザ
TEL.04-7163-9000
 FAX.04-7163-9300
―――――――――――――――――――

ワガママMAGAZINE

vol.14 あ・えーるテラスを訪れる人:優しさを覚えて、また誰かへ

2026-05-20
注目オススメNEW
ラコルタ柏を訪れる人の数だけ、ここに来る理由がある。
その中の一人、マイケルさんが初めてラコルタに来たのは約1年前。スタッフに自分のことを覚えてもらえたことが嬉しくて、それから通い続けているという。日頃から、ラコルタ柏1Fあ・えーるテラスでさまざまな人と関わりながら過ごしているマイケルさんに、お話を伺った。
◼ スタッフの目に映るマイケルさん
あ・えーるテラスでよく見かけるマイケルさんは、時には来所する方々の輪の中に入り、時にはひとりでいる人の隣にそっと座っている。
スタッフからは、「初めて来た方が会話に入りやすいよう自然に話題を振ってくれる」「誰かが一人でポツンとならないよう気にかけてくれる」といった声がたくさん聞かれた。
ある時には、声を荒げながら問い合わせをしていた来館者に対して、マイケルさんが自然に間に入り、状況を気にかけていたこともあった。また別の日には、ふらっと立ち寄った未就学児を、即興の手品とリコーダーで一瞬で虜にしてしまったこともある。さらに、掃除や整理が難しい方の自宅訪問に同行し、スタッフと一緒に片づけをしたこと、洗濯機の使い方を丁寧に伝えていた姿を覚えているスタッフもいた。スタッフから見ても大変だな、と思えることを自らできる人だという。
マイケルさん自身は、少しでもその人の人生がいい方向にいってほしい、少しでも誰かの力になれることがあれば、という気持ちに素直に行動していた。

◼ 「何かしたい」が体を動かす
インタビュー中に私は、スタッフから印象的だったと教えてもらった、外国籍の方を税務署まで案内した場面について聞いた。
きっかけは、市役所の場所を尋ねられたことだった。マイケルさんが英語を話せることもあり、「役に立てるなら」と案内を始めたが、市役所では税務署を案内され、そのまま税務署まで同行することになった。相手によって、どこまで関わることを求めているかは違うため、自分だけで判断せず、相手の意思を確認しながら同行したという。
相手の表情や雰囲気、言葉や仕草を見ながらどこまで関わるかを考え、反応がなければ無理に踏み込まないなど、見極める判断も大切だと考えている。人は余計な考えがよぎるし、声をかけることは勇気がいること。ただ、相手への思いやりや「何かしたい」という原動力に体が自然とついて来るという感覚だという。

◼ 場所をつくるのは、訪れる人
ラコルタ柏やあ・えーるテラスについて尋ねると、マイケルさんは「アットホームな、家庭の延長のような場所」と表現した。来所する人々は、個性・バックグラウンド・価値観も違う。あ・えーるテラスでは、いろんな人との交流、意見やアイデア、薦めによって互いに影響し合っている。生きづらさを感じている人も多いけれど、訪れる人たちが、以前より少し元気になったり、リフレッシュしたり、表情が明るくなっていく様子を見ると、自分のことのように嬉しくなるという。家族のように顔を合わせる人が増え、しばらく見かけないと心配になることもある。
「これからもさまざまな人が来られる場所であってほしい。生きづらさがある人だけじゃなくて、いろんな人が自然につながれる場所になればいい。居場所はたくさんあった方がいい。多世代が交わり、みんなでつくる心のオアシスになれば」
そこには、ラコルタ柏やあ・えーるテラスに感じている魅力と願いが込められていた。


◼ 誰かの役に立って、優しさを覚えた
マイケルさんは、もともと積極的に人を助けるタイプではなく、「昔は、困っている人を見て見ぬふりしていた」と話す。何か大きな出来事があったわけではないが、いつの間にか自然と気持ちが変わり、行動につながっていった。人との関わりを重ねる中で、自分の人生も豊かになり、気持ちも軽くなったという。ともに笑い、ともに泣く経験が増えたことも、その変化の一つだった。
人のために何かをすることは、一方的に与えるのではなく、自分自身も学びや気づきを受け取っていると知ったのだという。そんなマイケルさんの変化を象徴するように、こんな言葉が返ってきた。

「誰かの役に立って、優しさを覚えた」

その言葉には、マイケルさん自身が覚えた優しさの温度が、そのまま伝わってくるようだった。相手に何かを与えたいという気持ちだけではなく、マイケルさん自身の中にも何かが生まれ、変化し、成長していく歩みがうかがえた。
「その優しさを振り撒いて、香水のように優しさの香りを漂わせることができたら。そして、一人ひとりがつながって、葡萄の房のように支え合えたら」とマイケルさんは続けた。

◼ 優しさは今日もめぐっている
助けた人がまた誰かを少し気にかける糸口になるかもしれない。マイケルさんの一つの行動が、そんな「正のスパイラル」の一歩になれたら、と考えることがあるという。
マイケルさんの一つひとつの働きかけを、ボランティアと呼ぶこともできるだろう。ただ、その根底にあるのは押しつけでも特別な使命感でもなく、もっと日常生活に溶け込んだもののように感じられた。相手を気にかける思いやり、小さなとっかかり、興味や意識の中で、自分にできる範囲でできることをする。そのシンプルな積み重ねが、人と人との間にある自然な気持ちの交換なのかもしれない。

そんなことをマイケルさんの言葉がやわらかく教えてくれた。今日もあ・えーるテラスを訪れる人たちの間で、きっと優しさがめぐるきっかけが生まれ続けている。


TOPへ戻る